MSMとは
MesoScaleModelの略称で、日本語はメソ数値予報モデルといいます。
気象では、メソという言葉は、よく出てきます。
メソとは、気象現象を大きさに分類した際、2~2000㎞のサイズをメソスケールと呼びます。
台風、積乱雲などがメソスケールに該当します。
水平格子間隔5kmで日本とその近海(北緯 22.4度~47.6度、東経 120度~150度)を計算領域とし、1日8回(3時間ごと)で発表し、51時間先(00,12UTC初期値で1日2回)または39時間先(03,06,09,15,18,21UTCの初期値で1日で6回)までの予測計算をしています。
気圧面データと地表面データに分かれています。
気圧面データはデータに含まれる物理量として、時間間隔3時間のジオポテンシャル高度、東西風、南北風、気温、鉛直流、相対湿度(~300hPaまで)があります。
地表面データはデータに含まれる物理量として、時間間隔1時間の海面更生気圧、地上気圧、東西風(10m)、南北風(10m)、気温(地上1.5m)、相対湿度(地上1.5m)、上層雲量、中層雲量、下層雲量、全雲量、1時間降水量、日射量があります。
MSMデータの取得
本記事では、京都大学の気象庁データを利用させていただきます。
オリジナルのMSMデータは、国際気象通報式FM92 GRIB 二進形式格子点資料気象通報式(第2版)というデータ形式になっていますが、京都大学の気象庁データはNetCDFファイルに変換されているので、直接GrADSで描画できます。
NetCDFファイル形式に変換されたMSMデータはこちらです。
MSM-Pが気圧面データでMSM-Sが地表面データです。
より最新のデータはこちらにあります。
拡張子がncのファイルがNetCDFファイルです。
wgetコマンドで取得しましょう。
$ wget http://database.rish.kyoto-u.ac.jp/arch/jmadata/data/gpv/latest/20210717/MSM2021071700P.nc
上では、2021年7月17日の00UTC初期値の気圧面データであるMSMデータを取得しています。
GrADSで描画
本記事では、GrADSで描画します。
sdfopen
で取得したNetCDFファイルを開きましょう。
ga-> sdfopen MSM2021071700P.nc
q file
とするとMSMデータの物理量と変数が書かれています。
ga-> q file
Descriptor: MSM2021071700P.nc
Binary: MSM2021071700P.nc
Type = Gridded
Xsize = 241 Ysize = 253 Zsize = 16 Tsize = 12 Esize = 1
Number of Variables = 6
z 16 t,z,y,x geopotential height
w 16 t,z,y,x vertical velocity in p
u 16 t,z,y,x eastward component of wind
v 16 t,z,y,x northward component of wind
temp 16 t,z,y,x temperature
rh 16 t,z,y,x relative humidity
x方向241格子数、y方向253格子数、z方向に16個、時間方向に12ステップ(1ステップ3時間で36時間先まで)あることが分かります。
変数zがジオポテンシャル高度、wが鉛直流、uが東西風、vが南北風、tempが気温、rhが相対湿度です。
因みに地表面データは、
ga-> sdfopen MSM2021071700S.nc
ga-> q file
Descriptor: MSM2021071700S.nc
Binary: MSM2021071700S.nc
Type = Gridded
Xsize = 481 Ysize = 505 Zsize = 1 Tsize = 34 Esize = 1
Number of Variables = 12
psea 0 t,y,x sea level pressure
sp 0 t,y,x surface air pressure
u 0 t,y,x eastward component of wind
v 0 t,y,x northward component of wind
temp 0 t,y,x temperature
rh 0 t,y,x relative humidity
r1h 0 t,y,x rainfall in 1 hour
ncld_upper 0 t,y,x upper-level cloudiness
ncld_mid 0 t,y,x mid-level cloudiness
ncld_low 0 t,y,x low-level cloudiness
clda 0 t,y,x cloud amount
dswrf 0 t,y,x Downward Short-Wave Radiation Flux
x方向481格子数、y方向505格子数、z方向に1個、時間方向に34ステップ(1ステップ1時間で33時間先まで)あることが分かります。
変数pseaが海面更生気圧、spが地上気圧、uが東西風(10m)、vが南北風(10m)、tempが気温(1.5m)、rhが相対湿度(1.5m)、r1hが1時間降水量、ncld_upperが上層雲量、ncld_midが中層雲量、ncld_lowが下層雲量、cldaが全雲量、dswrfが日射量です。
d 変数名
にすると、描画されます。
ga-> d psea
set t set z
で予報時間、高度(hPa)を変えることができます。
以上です。